僕の靴音。--溢した砂を掻き集めるような 繊細な仕草が、--

自分で自分を終わらせた人が、また増えた。
あぁ…ばかだなぁ…もったいないなぁ。

(人生そんなに捨てたもんじゃないよ、)
(世界って、思うより汚くはないよ、)
……とか。

枕元にある延長コードを絡めながら握りしめたり、鋭利な切っ先を肌に引きあてたり、手すりから身を乗り出してたような俺みたいな奴に…言われたくない、かな。


自らこの世界とさよならする人の気持ちは、本人じゃないと分からないけど。

少しくらいなら、知ってる。
くるしいとか、哀しいとか、つらいとか、常識とか、道徳とか、思考とか、人間の『生きる』本能だとか…。
そんなもの全て超越した先に、その衝動はある。


そちら側にいけなかった人間もここに居るのになぁ…って、これだから人生不公平なんだよ、とか思ってしまう。

でも、今この瞬間の俺は、羨ましいなんて思ったりしない…かな？
(いや、俺は自分で自分の1秒後の思考なんて見れないからね。)

なんだかんだ言ったってさ。
人間、生きたもん勝ちなのよ。

衝動は、いまだにあるけど。
発作のように急だけど、いつだって影のように音もなく…ついてまわるけど。

でも、死んだって楽になるわけじゃないから。

ただ身体が朽ちて、忘れ去られていくだけのこと。
『第三者の脳内からの忘却』…人間の本当の『死』って多分そこにあるのよ。

人間の脳は『忘れる』ように出来ているらしい。
だから人間って、生きても苦しい…死んでも(忘れられて)苦しい。

どうせ苦しい…それならさ。

生きて生きて生きて、散々苦しんで苦しんで苦しんで生きて。
『こんなんでもここまで生きてきたんだ、君たちの苦悩なんてたいしたことないさ』
…って嘲笑って寿命で死んだ方がいい。

だって、その方が面白いじゃない？

(もしも、その中で、少しでも誰かの温かさに触れられたら。
その一瞬、死ぬよりも何よりも、ものすごく幸せでしょう？)



…なんてね、歪んだ考え方かしら。
(否、違うか、タチの悪い開き直りかな。)

ただ、あまりに精神が堕ちすぎると…開き直ることも思いつかない…。
必死に前向きでいようとする気持ちも、どこかへなくなる。

(あぁ、人間って実に面白い!)



…こんなこと、声に出しては言えないわ。
普通は、引くよね。

ごめんなさい、ごめんなさい。
普通じゃなくてごめんなさい。
でもお願い、どうか嫌わないで、離れていかないで。

こんな奴でも独りは嫌だ、わがままかな？



支離滅裂…。

『今日は、いつにも増して不安定ね？』
…って言われそう。
(自分でもそう思う。)



考え過ぎて…もう疲れた。

きもちわるい
吐きそう。

具合悪い…そっか、まだ薬も飲んでない。








あぁ、それでも、言えるのは。



この醜くも、素晴らしき世界!

(It's a Beautiful World!!)